今宵も月光浴。
ベランダに出て、
ぼぉっと夜空を眺める。
今日は風が強く、
近くのお寺の木々が
ごぉごぉざわざわ、と音をたてている。
この木々の音は、
小さい頃から聞きなれた音だ。
実家の目の前は山で、
風が強いといつも、ごぉごぉざわざわ、と
大きな音を鳴らしていた。
都会育ちの友人が来たときには
「何の音!?」
とびっくりしたくらいだ。
私にとっては驚かれるほうが驚きだった。
風が吹けば、木々が鳴る。
昔は、家の周りには田んぼもたくさんあって、
夏の蛙の合唱は当たり前だった。
夕方蛙が鳴きだすと、
「あ、雨降るな」
と子供心にわかったし、本当に降ってきた。
冬の夜、やけに外が静かだなと思うと雪が降っていたり、
音が季節を知らせてくれていた。
そんなことを思い出しながら、
月を眺めている。
よい夜だ。
*************************
最近はよく人との関わりについて考える。
今日、夕食を食べながらテレビを見ていたら、
「自分とのコミュニケーション」
という言葉が出てきた。
他人とうまくコミュニケーションできないと思っているのは、
実は自分とのコミュニケーションがうまく出来ていないんだ、
そんな感じのことを言っていた。
これにはハッとさせられた。
私は一人が好きだ。
どんな楽しい場面であっても、
一人でいる時間が確保できないと、
息苦しくなる。
それは一時だけでなく、
長いスパンで考えてもそうだ。
誰かと仲良くなる。
その人といるのはとても楽しい。
けれど、楽しさとは別に、
一定のスタンスが欲しくなる。
べったり一緒でいると、とたんに息苦しくなる。
楽しいとか、正しいとか関係なく、
他人の世界に近づくと、
自分の世界を見失ってしまいそうになるんだろう。
誰かといると、自分がとてもあやふやになる。
本当は人よりもずっと自我が強くわがままなのに。
自分ともっとコミュニケーションしなければ。
自分は何が好きで何が嫌いか。
何が心地よいのか。
どうありたいか、何をしたいか。
たくさんのことを経験し、
きっと自分の中にも
大きな世界が広がっているはずだ。
それをしっかりと心に刻み、
自分の世界に自負を持って人と関わっていけば、
孤独に逃げることなんてなくなると思う。
孤独は私にとって心地よい場所ではあるけれど、
人は一人じゃ生きていけないことも知っている。
*****************************
今宵もBGMは、Emi Meyer。
「上り坂の数だけ、強くなれる」
と彼女は歌う。
私もたくさんの上り坂を登ってきたなぁ・・・。
私はもしかしたら、
人よりもずっと強くたくましいのかもしれないな、とも思う。
強さを持つものは、弱さを知っている。
私はたくさんの弱さを知っている。
それだけは、自負している。
それが私の強さか。
Emi Meyerの歌声と共に、
外からは鈴虫の鳴き声が聴こえてきた・・・。
秋の音。
私の生まれた、秋。
大好きな、秋。
秋明菊の咲く頃、
どこかへ旅立ちたい気分。